人事部の皆さんは自己PR(自己紹介)や志望理由を一次面接で必ず聞くと思いますが、それ以外ではどんな質問をしていますか。私が知っている中では面接官によってバラバラの質問をしている企業も少なくありませんでした。
もちろん全員が同じ質問をする必要はないと思います。学生の経歴や自己PRに合わせて、柔軟に質問を変化させることは良いことです。しかし、ときには終わってみれば選考基準が面接官ごとに全然違ってしまうことも考えられます。もしも質問に迷うことがあれば今回ご紹介する質問をしてみてはいかがでしょうか。
1Dayインターンシップ・合説参加学生(人数制限なし)から早期フォロー先着3社限定!「母集団形成プラン」オプション200,000円が無料
★業界最安料金320円~に改定
キャンペーン期間:2020年1月15日~2020年4月30日まで
目次
1.インターンシップには参加しましたか?
この質問の意図は、早期に就職活動をスタートしていたのかどうかです。なぜそれが重要かと言うと、多くの大学3年生が夏季インターンシップに参加している中で、就職活動の重要性に気づいていない、つまり自分の人生への当事者意識が薄いことに繋がるからです。
(部活動の夏合宿といった理由を除いて)インターンシップには参加しませんでした。または知りませんでした。と答えた就活生がいたとします。その就活生は、将来を考える行動ができておらず、無気力とも言え、主体性に欠けているかもしれません。
そういった就活生を仮に採用したとしても、なりたい将来像を主体的に考えられないため、困難な壁が立ちはだかったときに仕事についてこられず、数年で退職する可能性があります。仕事や会社が好きなら耐えられる仕事も、なんとなく内定が出たから入社しているため、意欲的に取り組めず、自分には合わないと判断してしまうことがあります。
本当に意欲的にキャリア形成を考えている就活生なら、就職活動のスタンダードとなっているインターンシップを必ず知っていますし、企業と接点を持てるインターンシップのイベントに積極的に参加するため、この質問が重要な意味をもちます。
2.異なる世代の人と交流した経験はありますか?
会社に入ると、様々な世代の人と、チームになって仕事をすることになります。その時に大学時代にアルバイトや課外活動で年上の人との交流経験の有無がはっきりと現れます。
経験者は慣れているので、どんな部署でも溶け込みやすいでしょう。結果として生産性の高い人材に成長していくでしょう。しかし、社会に出て初めて違う世代の人と交流する人材は、部署に配属された時に驚くでしょう。
高校生や大学生は部活動やサークルで上下関係があると言っても2歳差程度です。コミュニティに所属していないと、同世代の数人としか交流していないケースもあります。こうした環境下では、自分の父親かもしれない年代の人とコミュニケーションをとって仕事をしていくことに苦戦するでしょう。
会社のどの部署にも課長、部長がいて、新入社員は一番の年下として社会人生活が始まります。そのコミュニティに溶け込めるかどうかを判断する質問です。
3.熱心に打ち込んだ授業について教えてください
大学生は4年間というモラトリアムの期間をダラダラ過ごしたり、アルバイトや課外活動で忙しくしていたり、部活動で必死になっていたりと、肝心の勉学が疎かになる傾向が強いです。
しかし、社会に出れば勉強の連続であり、勉強は一生終わることはありません。勉強が得意ではないと答える人はいても、「苦手」「嫌い」と答えている大学生はそもそも勉強する習慣がないため、入社後に苦労するパターンが見受けられます。
勉学に励んでいない学生でも一つくらいは興味があった分野、面白いと感じた分野があるはずです。大学では強制的な必修科目もありますが、自分の意志で選択できる教養科目も多数あります。そうした中で、4年間の授業で何も回答できない、何も得ていないとなると少し問題ですよね。
授業の内容はどんな内容でも構いません。大学生活を一生懸命過ごしていた就活生なら、即答するでしょう。「勉強は得意ですか?」と聞いても模範的な回答例がでてきてしまいますので、熱心に打ち込んだ授業について質問すると、本質的な回答を得ることができます。
部署が変われば、必要となる知識も変わってきます。会社の辞令で定期的な部署移動や職種のキャリアチェンジが考えられる会社なら、自発的な勉強の習慣を確認することをおススメします。
まずはインターンシップの参加有無。次に異なる世代との交流経験。最後に、常日頃から勉強する習慣があるかどうか。この質問をクリアする就活生は優秀です。ぜひご検討をしてみてはいかがでしょうか?
就活生の面接をしていると、アイスブレイクの重要性を認識することが多いと思います。面接の冒頭で「今日はいい天気ですね~」「どこから来ましたか?」など面接とは関係ない世間話をすることで、場の空気を温めるトークがアイスブレイクです。
しかし、このアイスブレイクの重要性や使い方、バリエーションをしっかりと理解している人事担当者は意外と少ないように思います。ここではアイスブレイクについて詳しくまとめてみました。
アイスブレイクはなぜ必要?メリットは
アイスブレイク(軽い雑談)をおススメする理由として面接の場はほぼ初対面同士で、就活生は緊張しているため、うまく話すことが難しい状況だからです。そんな状況で就活生の本音を引き出し、どのような特徴や人柄なのかを短時間で知ることなど不可能に近いでしょう。
アイスブレイクのメリットは、就活生の気持ちを解きほぐすことができる点です。活発に話すことができる雰囲気が作れると、企業側にとっても面接官の印象が良くなり、面接を進めやすくなる利点があります。ちょっとしたことですが、アイスブレイクが入るのと入らないのとでは、面接の雰囲気は大きく変わります。
効果的なアイスブレイクの手法
アイスブレイクにはいくつかの手法があり、代表的なのに「木戸に立ちかけし衣食住(きどにたちかけしいしょくじゅう)」という言葉があります。これは気象・道楽(趣味)・ニュース・旅・知人・家庭・健康・仕事の頭文字と衣食住を掛け合わせた言葉です。
気候は「今日はいい天気ですね」「寒いですね」と最もポピュラーな話題であり、誰でも共感できますから良く使われます。また季節の話題を取り上げて「花粉症がひどいのでマスク姿で申し訳ないですが気にしないでくださいね。○○さんは花粉症になっていないですか?」というのは、面接や説明会を待っている学生相手にも使えそうです。
逆に道楽や趣味として、会議前にゴルフネタで盛り上がる場合もありますが、大学生を相手にしている面接のアイスブレイクには向きません。相手から話を振られない限りは自分からは言わず、もしも履歴書に気になる趣味や特技が書かれているなら面接中に質問してみるといいでしょう。
聞いてはいけないダメなアイスブレイク例
アイスブレイクの話題選びや話しかけ方について、注意すべき点もあります。相手の心を開くためにやっているのに、逆に相手の心を閉ざしてしまう、相手を傷つけてしまうようなアイスブレイクはすべきではありません。
よくやってしまいがちなのが立ち入った話をしすぎてしまうことです。いきなり「他にどこの企業をうけているの?」「今日どこの説明会に参加してきたの?」と質問しても就活生は引いてしまうでしょう。
あくまで面接のためのアイスブレイクとして、適度な距離感を持って対応しましょう。政治・宗教・プロ野球はタブーとされていることを知っている人は多いですが、悪意のない無意識に出てしまう一言にも注意しましょう。
また、女性に対して「綺麗な足だね!」というセクハラが入ったことや、「その時計高そうだね!いくらするの?」などという立ち入ったことを話すのもNGです。就活生に嫌われるような対応は絶対にしないでください。
そして、アイスブレイクに時間を取りすぎる人もよくいます。話が盛り上がって楽しい場合もあるかもしれませんが、あくまで目的は面接ですからほどほどに、適度に切り上げましょう。
アイスブレイクは他にも「適度に整理すべし(てきどにせいりすべし)」といった会話テクニックもありますが、こうしたテクニックは新卒採用の面接以外にもアルバイト採用や新卒研修でも有効なコミュニケーション方法です。もしも相手が緊張しているなと思ったら、ぜひアイスブレイクを意識してみてください。
採用担当者は短い面接時間で多くの情報を入手するために様々な質問を投げかけます。しかし、一次面接や二次面接の段階ではしない方がいい質問もあります。就職差別につながる不適切な質問として思想・信条・宗教・支持政党などは広く知られていますが、それ以外にもNGな質問はあります。
面接官が意図していなくても学生側にとってはパワハラやセクハラに感じた質問や、印象を悪くしてしまう質問とは何か。採用クチコミサイト、Q&Aサイトで議論されている中の一部をご紹介させていただきます。
質問:どれくらいの期間、働くつもりがあるか
会社にとっては帰属意識を持ってもらいたい気持ちが強く、可能であれば定年まで長く働いて欲しいという気持ちから質問をするケースが多いです。しかし、面接の段階でこの質問をしてしまうと学生は委縮する傾向にあります。
長く働けるか、長く働くに値するか、それすらも分からない段階でこの質問をされると学生は悩んでしまいます。なぜこのような質問をしてくるのだろうか。経営状態が良くないのだろうか。なにか人事関係のトラブルがあるのだろうか。と考えてしまう学生もいるようです。
質問:恋人の有無、結婚の時期
面接官としては「長く働く意思があるか」「結婚しても続ける意思があるか」を確認したいときに質問をします。確かにせっかく採用した女性が入社すぐに結婚を機に退職してしまっては困ってしまいますよね。しかし、女性からは警戒をされてしまい、本当のことを話してもらえない場合もあります。
会社としては当然知りたい情報なのですが、面接でこの質問をストレートに訊いてしまうと学生は身構えてしまいます。ある就職サイト調査では10人に1人はこの質問をされた経験があるそうですが、プライベートの話に対してあまり深入りすると良くないケースです。
質問:妊娠したらどうするか
面接官としては「長く働く意思があるか」を確認したいときに質問をします。前述の質問に似ていますが、この質問の場合は回答の選択肢がかなり限定されている中で回答しなければいけません。退職する、産休を取る、転属を願う、どの答えも学生に回答させるには難しいと言われます。
学生としてはセクハラ質問と捉える方もいます。また、答えにくい質問に答えさせる、と受け取る学生もいるでしょう。最近ではSNSなどで、どのような質問をされたかという投稿が話題になりますので、気をつけておきたい部分です。
質問:転勤に対してどうするか
将来的に転勤の可能性がある場合には、予め学生に聞いておきたい質問です。理解しておくべきは回答がなんにせよ、学生は「仕事の内容を十分に理解できていない上で回答している」ことです。働いているうちに海外に興味を持ち始めたり、結婚したり状況は変化します。
また将来的な不確定要素を考えて「わからない」と回答する学生もいます。「転勤は問題ありません」と回答する学生が好まれやすいですが、この質問で合否を判断するのは早いと言えます。学生から答えを引き出すよりも、転勤の可能性があるという含みを持たせた確認に留めるのが良いでしょう。
質問:弊社が不採用だった場合どうするか
面接官としては「入社意欲や志望動機」を確認したいときに質問をします。学生の心の中では「残念ですが、他の会社の就職活動を頑張る」といった回答しかありません。ところが、その答えを言う事で印象が悪くなってしまう事もまた知っています。
答えが分かり切っている質問や、回答の選択肢がない質問は、学生にとって圧迫感や不信感を抱かせる要因になります。「突拍子もない質問をしたときの態度や反応を見たい」と考える面接官もいますが、あまりおススメはできない質問です。
傾向としてはセクハラ・パワハラと捉えられかねない質問は避けた方が無難と言えます。また、明らかに正解のある質問・正解のない質問も、学生を委縮・混乱させる原因になります。
予め回答を準備している学生を見極めたいのであれば問題ありませんが、偏った選考にならないように注意してください。面接担当官としては他意のない質問であっても、学生がどう捉えるかを慎重に考えなければいけません。
採用活動において「初めて会う候補者の本質を見抜く」ことが面接官の課題。どんな質問をすれば候補者の性格や人物像が引き出せるのか試行錯誤の採用活動を続けていると思います。候補者の本質を見抜くことに有効な質問を導き出す視点をご紹介します。
定番質問では本質は見抜きにくい
定番質問から本質を見抜ける確率は低いでしょう。新卒・中途ともに、採用面接で想定される質問への回答対策は十分すぎるほどに取られている昨今。就職課やエージェントも模擬面接や質問想定集ハンドブックなど対策に力を入れています。
そうした訓練から就活生も回答方法も言葉選びも完璧、そのまま受け取れば申し分のない選抜材料のように聞こえます。面接官が、想定しやすい定番質問を使うなら、候補者も用意した回答を答えやすいでしょう。ただ、新卒採用のように面接人数が多ければ多いほど、同じような回答に困惑する採用担当者は少なくありません。
定番質問によって入社意欲や仕事への熱意が測れることもありますが、似たような回答がたくさんあると合格/不合格の判断が難しくなります。そのため、本質を見極めるには質問の視点のランクを上げる必要がありそうです。
見極める本質とは?面接官の質問で大切にすべき3つの視点
候補者の本質を見抜こうとするとき、候補者がどんな本質を持っているかに着目していませんか? まずは自社が求める本質を基準にするための絞り込みから始められることから始めれば、面接での質問成果を向上させることができるはずです。
その1.見抜くとは?隠された部分を暴くことではない
見極めや見抜くというのは、採用担当者にとっては重要な能力です。しかし、候補者の嘘や隠している欠点を見破ること捉えてしまっていては本来の見極めはできません。リスク回避の質問と適任者を選び出すための質問は角度を変えたほうがいいでしょう。
その2.探し出したい本質を絞り込む
候補者が、募集ポジションに適した人材としての本質を持っているかという視点が大切です。自社がそのポジションに求める、譲れない資質、適性、人柄はどんなものかという点に候補者の本質が一致しているかを確かめる質問をするのが有効でしょう。
その3.面接は質問への回答だけでなく反応を見る機会
言葉での回答だけが選考材料になるとは限りません。質問直後の態度や回答までの速度などにも、見極めるべき本質が現れるものです。そのためにも、事前に求める本質を特定しておくことが重要になってきます。
面接で本質が見えてくる質問例3選
定番質問では見せてもらえない本質までたどり着くには、事前準備は欠かせません。事前にシミュレーションしておくことも効果的です。
質問例1:抽象度の高い質問
例:「どんなことが好きですか?」「求めるものは何ですか?」
回答の幅が広くなる質問です。質問の「的」を確認する候補者もいたりして、コミュニケーション能力も測れます。ポジティブな内容にすると候補者は気分よく話せます。警戒心や緊張感を低くすることができるでしょう。
質問例2:捉え方や関わり方を見る質問
例:「今まで受けた指摘の中で一番役に立っていることは何ですか」
伸びしろ、素直さ、人との関わり方、ものごとの捉え方、指摘されたことにどう対処する人かなどが明らかになるでしょう。
質問例3:仕事の価値観を見る質問
例:「あなたの成功を測るものさしは何ですか」
仕事における優先順位が見えてきます。例えば、昇進や昇格という評価を受けたとき、お客様や一緒に働く仲間に貢献できたとき、目標が達成できたときなど視点は様々でしょう。
会社側にとっても候補者側にとっても人生を左右する決断になります。応募者から多くの情報を引き出す質問はどれかを考え、曖昧な判断基準で決めるのではなく、確信がもてるような質問を心がけてほしいと思います。
面接官本人の自己開示や面接者への共感など、細かい面接テクニックの他にも、選考にきた学生からホンネを引き出すテクニックはいくつか存在します。選考にきた学生のホンネを引き出せてこそ面接の意味があると言えますね。そこで本日はホンネを引き出せる雰囲気と空間作りについて3つご紹介します。
1.話しやすい物理的な環境づくり
人のホンネを引き出すときに、本音を引き出しやすい空間があることをご存知ですか。人間の心理には解放的な空間よりも適度に何かに囲まれているほうが安心し、リラックスする傾向があるそうです。
動物の本能として外敵からの発見や攻撃を受けにくい場所(せまい場所)を休む空間に選択するとのことで、確かに猫や自然界の動物はせまい場所や部屋の隅を好んでいます。人間でも同じことが言え、天井が高く広い会議室よりも、天井は低めで適度に壁に囲まれている少し狭い会議室の方が人は安心するようです。
大きな会議室にポツンと置かれた椅子に座って面接が開始されるのを想像すると緊張するイメージがつくと思います。面接でホンネを引き出すには相手の緊張をほぐし、安心感を与えることが必要不可欠ですよね。もし、会社内に広い会議室しかない場合には、パーテーション(仕切り)や植栽などを準備し選考にきた学生が安心できる空間を作ってみましょう。
2.面接官との位置関係に注意
普段の面接はどのような場所と配置で行っているでしょうか。面接の際、面接官と面接者の距離を気にしたことはありますか。実は、面接の際の物理的な距離は心理的距離に比例します。
集団面接では難しいと思いますが、マンツーマンでの面接の場合は表情などを読み取るためにも面接官と面接者の距離は60cm~1.5mほどの距離で行うのがベスト。2mを超えてしまうと相手のちょっとした表情が見えなくなってしまうので注意が必要です。
適度な距離を保つことで学生が安心し、ホンネを引き出しやすくなります(あまり距離が近過ぎるのもNG)。面接の目的は「相手の本質を見出すこと」です。いたずらに緊張させるような空間での面接は避けたいですね。
3.集団圧力と役職に注意
学生1名に対し面接官が4、5名といった大人数での面接はNGです。何故なら、集団の前では心理面で自己規制がかかり、ホンネを引き出しにくくなるからです。できるだけ多くの社員に会ってほしい、という会社側の意図がある場合は面接の回数を複数回設けるほうがよいでしょう。
ただし、いたずらに面接回数を増やすのは社員(面接官)にとっても、学生にとってもよくありません。多くても4回程度にとどめておくと良いでしょう。または内々定後に時間調整したりするほうがよいでしょう。
社長や役員がいる会議やMTGで、社員のホンネが出にくいのと同じように、あまりに役職が高い社員が面接官だと学生のホンネが引き出しにくくなります。役員や社長面接の前には役職の高くない面接官が面接を担当し、学生のホンネを引き出すようにしてくださいね。
新卒採用シーズンの序盤では面接慣れしていない就活生が多いので、緊張してしまい上手くしゃべれない人が多いです。それも学生の実力の内と考え、緊張している中で普段と同じ力を発揮できるのかを判断したいと考える企業もいますが、意味もなく緊張させてしまうことは避けるべきですよね。
人のホンネを引き出すには、面接テクニックの他にも空間作りや雰囲気作りなど様々なテクニックがあります。このテクニックは面接や面談だけではなく、大切な人と大事な話をしたいときにも有効です。採用時だけではなく、社員育成や社員面談のときにも是非使ってみてください。新卒採用を成功させるために企業側が率先してリラックスできる環境を作ってあげてほしいと思います。
新卒採用の面接で「学生時代、一番頑張ったことはなんですか?」「学生時代、一番成功したことはなんですか?」という定番の質問があります。これらは成功体験を聞いている質問です。面接官は就活生の成功体験を聞くことで、就活生の行動力や性格をチェックしていますが、間違った評価をしやすい質問でもあります。新人の面接官が陥りがちな面接の落とし穴についてまとめました。
学生時代の成功体験
「学生時代、一番頑張ったことはなんですか?」この質問は新卒採用のエントリーシートや選考面接において定番の質問です。問われないことはありませんので、就活生は事前によく準備しています。よく準備しているのはいいのですが、面接官にとっては学生の本質を見抜きづらくなってきています。
よくある回答例として「語学留学の経験」「自転車で日本一周旅行しました」「ヨーロッパ数か国をバックパッカーとして放浪しました」といったものです。これらの回答はインパクトがあるため思わず評価してしまいがちです。
ここで心を動かされる面接官は要注意。確かに日本一周やヨーロッパ放浪はすごいことですが、この時点で就活生を評価するのはミスマッチを起こす原因になりかねません。インパクトのある成功体験に騙されてはダメです。
大切なのは再現性のある成功方程式
では、面接官は成功体験の質問で何を見るべきなのでしょうか。それは、その成功体験に再現性のある成功方程式があるかどうかを見る必要があります。
再現性という言葉は非常に重要ですので、少し具体的に説明させていただきます。再現性とは、「いつ、どこで、誰がやっても、同じ手順で行えば同じ結果が得られる」というものです。化学は再現性がもっとも問われる学問の分野の一つです。
例えば二酸化マンガンに過酸化水素水を入れると酸素が発生しますよね。これは幼稚園児がやっても、誰がやっても、絶対に結果は変わりません。いつ、どこで、誰がやるかによって、結果が変化するようならば、それは科学とは言えません。
もう一度確認します。再現性とは「いつ、どこで、誰がやっても、同じ手順で行えば同じ結果が得られる」というものです。そして、面接における成功体験にも再現性のある成功方程式が求められるということです。
面接官は就活生が語る成功方程式が他の事例でも成功させることができるのか、という視点を持つべきです。例えば今回の自転車で日本一周という成功体験だけでは再現性のある成功方程式かどうかは判断できません。
再現性さえあれば失敗体験でも構わない
どれだけ結果にインパクトがあったとしても、勢いだけでやってしまった成功体験には再現性のある成功方程式がないため、あまり意味がありません。逆に結果がついてきていない内容だったとしても、再現性のある成功方程式があれば、それは評価すべきことです。
極論ですが、再現性さえあれば失敗体験でも構わないと思います。つまり、面接官は「何をやったか」よりも、「どうやったのか」を重視する必要があります。今回の「自転車で日本一周旅行しました」を例にとれば、面接官は日本一周という結果よりも、どうやって日本一周したのかを重視すべき内容になります。
ここに二人の学生がいたとします。二人とも大学生時代に自転車で日本一周旅行したことをアピールしています。Aさんは思いついたらすぐ行動する派。周囲の友達や運や天候にも恵まれた結果、ノリと勢いだけで日本一周ができました。
一方、Bさんは旅行前に周到な準備をし、毎日の行動計画とスケジュールを決め、宿泊ホテルをすべて予約し、その土地の美味しい食堂を携帯で写真撮影していたとしましょう。
Aさんの行動に再現性はありません。一方、Bさんの行動には再現性があります。どちらの学生を採用したいですか?Bさんに仕事を任せたら、どんな環境変化にも対応でき、必ず周到な準備をしてくれるだろうと考えられます。
質問例
それでは面接官は具体的にどのような質問をすべきなのでしょうか。質問例をまとめました。
・きっかけとゴール設定
「まず何から始めましたか」
・チャレンジ
定番質問では見せてもらえない本質までたどり着くには、事前準備は欠かせません。事前にシミュレーションしておくことも効果的です。
・継続
「どんな努力を継続しましたか」
・挫折
「つらく挫けそうになったことはありますか」
「挫けそうになったとき、どう乗り越えましたか」
・協力
「周囲から協力してもらった部分はありますか」
「周囲から協力してもらうためにしたことはなんですか」
・突破
「目標達成のために、差別化をしましたか」
「目標達成のために、強化したポイントはなんですか」
・成功
「成功した瞬間のエピソードはありますか」
「成功した瞬間の気持ちを教えてもらえますか」
・その他
「その経験によって、周囲に影響を与えたりしましたか」
「その経験によって、その後の考えや行動に変化した部分はありますか」
「学生時代、一番頑張ったことはなんですか?」という質問で見抜くべきポイントをまとめました。ただし、学生がうまく話せなかったとしても、学生に再現性がないとは限りません。実体験を忘れている可能性もありますし、緊張して話がまとまらなくなってしまったかもしれません。
面接官をされる方には学生をリラックスさせてあげて、学生の魅力を引き出してあげる努力をしてほしいと思います。それを心がけていれば、いい採用がきっと実現できることでしょう。
採用人数が増えると複数の採用担当者や面接官で採用業務を進めないと手が回らなくなります。そこで避けられないのが選考する社員のスキルのばらつきです。今回はその壁を乗り越える面接フローの見える化策をご紹介します。
採用面接スキルのばらつきがもたらす弊害
候補者にどんな質問を投げるか、候補者についてのどんな情報が必要かを、面接官の裁量に任せてしまうと、質問の方向性も集まる情報もバラバラということがよく起きます。社内検討の際でも、それぞれが面接した候補者の比較や説得力のある推薦が難しくなるなど、判断や選定に支障をきたします。
雰囲気から何となくいい人材という曖昧な基準で判断を下してしまうと、企業に必要な人材を採用プロセスの途中で落としてしまう可能性すら出てきてしまいます。
採用や面接経験が浅い担当者にありがちなのが、面接で触れるべきポイントを把握しないまま面接を行なってしまうことです。選定のために必要な情報を聞き逃してしまい、費やす面接時間が無駄になります。
面接フローの見える化の3ステップ
面接する社員の面接スキルにばらつきが出ることは避けられません。しかし、面接でのインプットと選考判断のアウトプットを統一することは可能です。この統一によって、上記のようなばらつきがもたらす弊害を避けることができるでしょう。そのために欠かせないのが、面接フローの見える化です。
ステップ1:採用基準の明文化
要件のことなる求人案件の一つ一つに、自社なりの採用基準をできるだけ詳細に策定します。適性、スキル、資格、資質や人柄など具体的に決めておくことが前提です。その上で、面接で必要になる質問案、確認事項、自社から候補者に伝えるべき点まで深掘りします。
それらのすべてを採用に関わる担当者全員に説明、いつでも確認できるよう共有することが大切です。共有する内容が細かければ細かいほど、人為的判断を少なくすることができるのです。
ステップ2:採用基準に沿ったチェックリスト活用
細かい内容だったとしても採用基準の項目に対して、担当者が面接中もしくは面接直後に、簡単に素早くアウトプットできるようにすることが大切です。
採用基準そのものを確認するよりも、チェック形式やマーク形式のチェックシートを用意すると便利です。また、文章での記録が必要な部分はあると思いますが、選考や比較を考えると、できる限りの項目を数値で評価するようにしておくこともポイントになります。
ステップ3:面接フローの振り返りと改善
すべての面接に立ち会うことができなくても、このフェーズを共有事項の中に組み込んでおくことで面接状況を把握し、全体的な改善策を見出すことができます。その指針や最大の改善基準となるのが、はじめに策定する採用基準です。このサイクルは人材の能力向上にもつながっていきます。
採用活動を可視化できるツール&サービス
面接も含めた採用活動のすべてを見える化&共有できるツールやサービスが続々と登場しています。採用プロセスで活用する様々な媒体を一括管理できる採用管理システムの活用も活発化しており、工数削減以外にも、面接の情報共有にも役立ちます。特徴・機能・コストも様々なので、自社の採用スタイルに合わせて検討されることをおすすめします。
ジョブカン採用管理
ジョブカン採用管理は、株式会社Donuts提供の新卒だけでなく、中途やアルバイトの採用も一括で管理することができる採用管理システムです。企業の導入実績は800社以上。進捗も次のタスクも即座に把握できるのが特徴。メールの送受信も管理画面内で完結できます。
ジョブスイート
ジョブスイートは、株式会社ジャパンジョブポスティングサービス提供の中途採用に取り組む人事採用担当者のための応募者管理ツールです。企業の導入実績は500社以上。自社HP、自社内他部署、応募サイト、人材紹介会社との連携がスムーズになります。リクナビNEXTとも連携しており、オンライン上のエントリーフォーム設置や管理機能も活用度が高いです。候補者ごとに選考のどのフェーズなのかがひと目でわかります。
立場の高い人が自然と面接官を担当する会社も多く、面接スキルの有無は軽視されてきていましたが、優秀な人材を獲得するには高度な面接スキル必要不可欠です。面接官トレーニングをおこなっている会社もあるので、気になったら調べてみてくださいね!
新卒採用は同時期に短期間でたくさんの学生を複数名で評価しなければいけません。面接ではできるだけ主観的な判断をなくし、客観的に公平公正な判断をする必要があります。そのため面接シート・評価基準が重要になってきます。一次面接を始める前に準備しておくべき面接シート・評価基準をまとめました。
新卒採用では就活生全員を同じ面接官が評価するわけではないので、評価基準がぶれないようにしなければいけません。そのため統一した評価基準が重要になります。評価基準が明確であれば普段面接をしていない若手社員が担当しても、ぶれのない評価ができます。
ただし評価シートに縛られ過ぎるのはよくありません。評価シートに縛られ過ぎると就活生の本質的な人柄や魅力を理解できないまま面接が終わってしまう場合もあります。また評価シートだけで判断すると「事前準備が出来ている優等生タイプ」に偏ってしまうことも考えられます。面接シートは各企業が募集内容や募集職種と照らし合わせて独自に作成するのが望ましいです。
一般的には「ヒアリングシート」「人物・マナー評価シート」「希望条件シート」の3つのうちどれか、もしくは複数を総合的に利用して評価するケースが多いです。各シートは5段階評価を中心に自由記入欄を設けることで、多角的に判断できるようにします。よくある評価基準や定番質問をまとめました。
評価ポイント・評価要素
責任感、公平性、計画性、信頼性、創造性、持続性、協調性(チームワーク)、好奇心、向上心、忍耐力、集中力、企画力、折衝力、説得力、経営力、洞察力、専門力、慎重さ、正確さ、誠実さ、チャレンジ精神、リーダーシップ、対人関係能力
ヒアリングシート
自己紹介、長所・短所、学生時代に頑張ったこと(学業・サークル・アルバイト)、一番の成功体験、印象点、懸念点、二次面接で確認してほしい事、自由記述、総合評価
人物・マナー評価シート
入室時:ノック、始めの挨拶、ドアの閉め方、着席前挨拶、着席
身だしなみ:髪、服装、清潔感があるか、
自己紹介:話し方、内容、声が小さくないか、ハキハキ話せているか
面接態度:肘をついている、相槌を打っている、積極的に質問をしている。
質疑応答:失礼な質問がある、何も聞かない、定番通りの質問をする
退室時:挨拶ができている、あいさつしながら出る、お辞儀ができている
希望条件シート
希望職種、出身地、仕事の優先順位(仕事をする上で大切にしている事)、志望理由(なぜ当社を志望したのか)、希望部署に配属されなかったら、希望勤務地(理由含め)、転勤について、どんな業界を受けているのか(理由含め)、選考中の他社状況、想定業務、最終面接で確認したい事、自由記述、総合評価
注意点
就活生側から悪い評判を聞かれるのが「評価シートだけ見ている面接官」です。「面接中に一度も目線が合わなかった」という企業もいるそうです。意図していなくても評価シートを見ながら質問をすると、就活生側からは悪い印象を与えてしまいます。
特に若手社員や面接に不慣れな社員に担当してもらうと、面接シートの確認や記載に集中しすぎてしまい失敗してしまうケースが多いようです。圧迫面接でもない限りは就活生の目を見ながら質問をすることを心がけてください。
同じ企業でも項目内容を毎年ブラシュアップさせ、変更している企業もいます。また応募時に提出してもらったエントリーシート(ES)や、前の選考の最後に書いたアンケート等を参考にして質問をする面接官もいます。
面接シートや評価基準に正解はありません。面接で評価するポイントは業種や職種ごとに違いますので、自社に合った評価基準を利用して、末永く活躍してくれる社員を採用してほしいと思います。