今月、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言が、世界中から批判を浴びました。他人事のように思えるかもしれませんが、新卒採用でもパワハラやモラハラが毎年のようにニュースに流れており、こうした失言は社会人すべてが気をつけなければいけないと感じました。今回はどんな場面で、どのような発言に注意しなければいけないのかまとめました。
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採用では面接時の質問において基本的人権を尊重しなければいけません。人事であれば公正な採用選考を行うことは基本中の基本的な考えとして、本籍地・家族の職業・家族の収入・思想信条・男女雇用機会均等法に抵触する質問をしてはいけないことを理解していると思います。
しかし、現場の責任者など通常業務で採用をしていない方は全く理解していないケースがあります。こうした発言の原因は「無理解」「無知識」「無意識」にあります。近年はLGBTなどセクシャルマイノリティの方に配慮して「男らしい」「女らしい」といった言動にも注意しなければいけないので、知識をアップデートしなければいけません。
面接の場では気をつけているけど、内定者インターンや内定者懇親会での失言から内定辞退が起きたという話を毎年のように聞きます。お酒を飲んで気が緩んだ現場の社員が、話のネタにするつもりなのか「彼氏(彼女)いるの?」「両親や兄弟は何の仕事をしているの?」と聞くケースが多いそうです。
ヒドイときは「君って彼氏いないでしょ?」「モテなさそうだよね」「童貞っぽい顔しているよね」と言われた学生もいます。嘘のように聞こえますが全て実話です。
社員側からすると「自分たちの仲間の一人」「もう採用選考が終わっているから無礼講」と思っていますが、内定者側からすると「まだ入社もしていないのに、そんなことも言われなくちゃいけないのか」と認識のズレが発生しやすいです。
立場が弱い内定者だからこそ「嫌な質問には答えたくないけど断れない」心理になってしまい、不満だけが溜まってしまいやすいです。内定ブルーの学生がいたら「社員さんは無神経な人ばかりなのか」「入社したら毎日こんな質問されるのか」とネガティブに考えてしまい内定辞退に繋がりやすくなります。
同じように内定者インターンでも配慮が必要です。内定者インターンは現場の社員と一緒に働くケースが増えていますが、現場の社員に丸投げするのではなく「あくまでも内定者だから、発言には気をつけるように」と一言伝えるだけで違います。
内定者懇親会のたった一言の発言が内定辞退のキッカケになります。内定式後とはいえ内定者からしたら「どんな会社なのか」「会社の雰囲気は自分と合っているか」と探り探りの段階です。内定辞退しようか迷いながら懇親会に参加している学生もいるかもしれません。
大学4年生の秋採用で出会った就活生の中には「内定式で合わないと感じ辞退した」「懇親会であった社員と人間的に合わないと感じ、その会社で働くイメージが見えなくなった」と話した学生もいました。
つまらない一言で企業の評判は簡単に落ちてしまいます。防ぐために面接官の研修や打ち合わせをしっかりおこないましょう。それが無理な場合は「NG質問集」として資料にまとめ、面接前に資料を渡すことをおススメします。
「あの人は去年も面接官を務めてくれたから大丈夫」と省略してはいけません。1年に1回だけの面接官の仕事だと忘れているケースがほとんどです。このメルマガの読者であれば、学生への発言に配慮している方がほとんどだと思いますが、今回の森会長の事例を教訓に改めて失言が起きないように注意してほしいと思います。