採用担当の皆さんは、自社の特徴や魅力を紹介する際に、どのような点に気をつけていますか?前回で、会社説明会で好印象を与えた企業事例をお伝えしましたが、今回は逆に志望度を下げてしまった、選考辞退を招いた事例をご紹介させていただきます。
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地方国立大学出身のAさんが参加した3月の合同説明会で、某地方銀行の説明を聞く機会がありました。そのとき人事部の方の発言が衝撃的で数年経った今でも忘れられないそうです。
その発言とは「今から就活を始めたところでスタートダッシュが遅れていることを自覚しなさい。こんな時期に合同説明会に参加しているようでは、あなた方の就職先のレベルなんてたかが知れている。」と言ったそうです。(大学3年生の頃からインターンに参加している人は、志望業界が絞れているため合同説明会に来る段階にはいないため)
確かに大学3年生のうちに志望度の高い企業のインターンシップに参加すると企業研究は深まりますし、他の就活生と差をつけることができます。しかし、学生はこの言動に対して強い不信感を覚えてしまいました。かなり厳しい口調だったため、企業説明会が終わった後に大学内でちょっとした噂になったそうです。
学生に優しい言葉をかけてあげるだけが正解ではありませんが、相手に不快感を与える発言は控えたほうがいいでしょう。今回のように企業の評判は学生間ですぐ共有されてしまいます。
学生Bさんが医療関係の企業説明会に参加した際に、人事部の男性は「うちは基本給が低い方ですが、残業代でカバーできますから他の企業より給料は高いです。」とアピールしたそうです。
この発言で学生Bさんは「残業がとても多い会社なのか」と不安を覚えてしまい、最終的に選考辞退の判断をしたそうです。もしかすると給与面でアピールできる部分が少なかったのかもしれませんが、給与を残業代でカバーできるとアピールするのは得策ではないでしょう。
説明会で残業(給与)について触れるとするならば、なぜ残業が発生するのか、月間平均でどれくらい発生するのかを説明し、そのうえで残業代はしっかり支払われていると伝えたほうがいいでしょう。また基本給が増額する条件はなにか、賞与や退職金のベースが基本給以外にあればそれは何なのか、触れるといいでしょう。
就職活動を行う学生は、入社後に長く働いていける環境かどうかをイメージしながら応募する企業を選んでいます。学生にとって採用担当者の言動や説明の内容は、大きな判断材料になります。
悪い噂はすぐに広まりますから、たとえ事実を述べていたとしても、学生を不快にしたり誤解を与えたりする言動をしないように気をつけましょう。
今回のコラムを執筆中に、白血病からの完全復活を目指す競泳の池江璃花子さんが東京オリンピックの代表に決まりました。インタビューで「自分が勝てるのはずっと先のことだと思っていた。すごくつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなと思った。今すごく幸せ」感動で私も涙しました。
コロナ禍での就職活動は学生にとって大変つらいことだと思います。そんな彼や彼女を励ます言葉をかけてください。