国際自動車株式会社の2018年新卒採用サイト「すっぽんぽん採用」が注目されています。非常にユニークなネーミングですが、どういった内容なのか、どの点が優れているのか考えてみました。
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国際自動車株式会社は東京を拠点にタクシー・ハイヤー・バス事業を運営する会社です。一般的にはタクシーの運転手は中高年という印象が強く、新卒採用には不向きな業界です。そういった難しい環境の中で、国際自動車株式会社は毎年100人を超える新卒採用に成功しており、2018採用も100名以上の採用を計画しています。
すっぽんぽん採用とは裸同士で面接することではなく、隠し事をしない「本音で語り合える採用」という意味です。「面接での駆け引きや嘘のPRは意味がないので止めましょう」というメッセージが込められています。(ただし、希望者には実際に人事担当と一緒に銭湯で語りあえることができるそうです。)
具体的にすっぽんぽん採用の特徴は5つです。1.履歴書・ES不要。2.服装・髪型自由。3.面接廃止、キャリアカウンセリング実施。4.仮面就職OK。5.すっぽんぽん面談。
国際自動車株式会社の新卒採用サイトではまず企業側の採用理念・採用スタンスが書かれています。なぜこの採用を始めたのか、何を狙っているのかを丁寧に説明されており、決して話題性だけを狙っているわけではないことが伝わってきます。
4番目の仮面就職とは、とりあえずの就職先として考えてOKという意味です。フリーターになるくらいなら、うちの会社で働いてみませんか?と新卒採用サイトでは説明されています。私はこの仮面就職OKに注目しました。なぜなら、5つの特徴の中で4番目だけが唯一「求める人物像」に関することだからです。
《「とりあえずフリーターになるよりはkmグループで働いてみよう(通称、仮面就職)」という方も歓迎します。》(※新卒採用サイトから抜粋)
この言葉は誰に対してのメッセージなのか非常に明確です。「やりたいことが見つからない…」「無理にでも就職したほうがいいのか…」と就職活動に悩んでいる学生が見たら、思わずエントリーするのではないでしょうか。
多くの企業が募集対象に「理系学部」「文系学部」「既卒歓迎」と書かれていますが、どのような考え方をもっている学生にエントリーしてほしいか求める人物像(ターゲット像)を明確にしている企業は少ないです。
採用においてマッチングという言葉がよく使われます。お互いに「こういう学生にきてほしい」「こういう会社で働きたい」という考えが一致することが採用において大切です。逆にこの考えが一致していないと早期離職に繋がってしまいます。
「こういう学生に来てほしい」という求める人物像が具体的であればあるほどマッチング率は高まります。すっぽんぽん採用はネーミングに注目されがちですが、求める人物像が明確である点が一番の評価すべきポイントであると思います。
多くの会社が採用ホームページで選考フローや会社の魅力を伝えています。しかし、それだけでは学生から共感されるのは難しい時代になってきました。新卒採用において「この会社で働いてみたい」「話を聞いてみたい」と就活生に思ってもらうために、まずは求める人物像を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。
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就活生フォローレポート35 すっぽんぽん採用から考える《求める人物像》の重要性