今回は、なぜ「共感採用」では、新卒採用担当者が笑顔になり、会社の未来も明るくなるのか? 私が考える、共感採用で大切にしている3つのプロセス「自己理解/他者理解/相互理解」から深堀したいと思います。
目次
共感採用とは、会社の価値観を打ち出し、それに共感する学生を採用する手法のことを指します。
「給与や福利厚生などの待遇面」より、価値観の一致を大切にするのが特徴です。近年、共感採用が再び注目されるようになった背景としては、『安定したい』という価値観よりも『社会の役に立ちたい』『成長して力をつけたい』という価値観を重要視するZ世代の学生が増えてきたからです。また、採用する学生の個人的価値観が会社の価値観と一致することから、モチベーション維持や長期定着にも繋がり、学生と会社の双方にメリットがあります。何より、学生からの認知度が高くない会社であっても「価値観」という中身で勝負できる点が魅力です。
共感採用で大切にしていること1つ目は、会社の自己理解です。つまり、会社のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)、文化(カルチャー)、ロールモデルを明確にして、採用活動を通して分かりやすく発信することで、会社の価値観を学生に共感してもらいます。
・Misson(ミッション) :果たすべき“使命や存在意義”
・Vision(ビジョン) :実現したい“未来やありたい姿”
・Value(バリュー) :目指している“あるべき姿や価値観”
・Culture(カルチャー) :構築された“文化/現在の姿”
・Role model(ロールモデル) :個人的価値観が会社の価値観と一致している“お手本”
共感採用で大切にしていること2つ目は、他者理解。つまり、会社が学生の価値観を大切にすることです。学生の価値観を大切にするとは、学生の心に寄り添い、学生の叶えたい願望を理解することです。
このように、学生の心に寄り添い、自分の理想とする人生を聞いてくれる大人が目の前にいることは、学生にとって「存在承認をしてくれる」数少ない大人であり貴重な存在です。
とはいえ、いきなり、お互いの価値観を共有するのは信頼関係が浅い状態では難しいので、まずは、趣味や推し活のこと、大切にしている愛用品等の話から、始めることをお勧めします。
共感採用で大切にしていること3つ目は、相互理解。つまり、個人的価値観が会社の価値観と一致している“学生のロールモデル”新卒採用担当者が、自分の言葉で人生経験(マイストーリー)を語り、学生から好きになってもらいます。
新卒採用担当者であっても『なぜこの会社で働いているんですか?』と聞かれると、意外と自分事として語れないことがあります。新卒採用担当者が自分事として語れなければ、学生からの共感を生むことはできません。学生に、会社のミッションやビジョンを、そのまま伝えても響かないものです。
新卒採用担当者が、自分自身の人生経験(マイストーリー)と紐付け、例えば
『このような環境で生まれ育ち、このような人達から影響を受け、このような出来事があったから、私はこの価値観を大切にしています。今この会社で働いているのは、自分の価値観を大切できる環境だからです。』と、自分の個人的価値観と絡めて語れることが大切です。
新卒採用担当者が、自分自身のマイストーリーや日々感じていることと紐付けて、会社のミッションやビジョンを説明すると、学生は『この人は本物だ!このような社会人になりたい!』と共感が生まれます。
また、新卒採用担当者以外の若手先輩社員も“学生のロールモデル”となり、学生のことを応援することで、学生は「この会社なら自分の求める理想の未来が叶えられる!」と実感し、会社のことを更に好きになります。
これまでの「マス型採用」では、新卒採用担当者は、内定辞退や早期離職の不安を抱えながら、一人でも多くの学生を「集める」ことに孤軍奮闘していました。 これからの「共感採用」では、会社のことを好きになってもらう学生を、時間をかけて大切に「育てる」ことを重要視します。そして「自己理解/他者理解/相互理解」という「共感採用」の3つのプロセスを経て採用した新入社員は、モチベーション高く、かつ長期的に会社に貢献してくれています。
私はこの事例をいくつも見てきました。
新入社員は、自分たちのことを応援してくれた「憧れの先輩社員」のように、入社後も自分の言葉で「会社のビジョンや仕事の魅力・楽しさ」を語り、次は、未来のリクルーター候補として、新卒採用担当者や後輩となる学生たちのことを応援します。
新卒採用担当者が笑顔になり、会社の未来も明るくなるのは『自分がしてもらった恩を後輩たちに返していく』このような循環が若手社員から会社全体に広がっていくからです。
次回は「会社の自己理解」について深堀したいと思います。