対話には、組織の創造性を引き出し、新しい価値を生み出す力があります。これは、対話を通じて多様な経験や価値観に触れることで、これまでの常識や枠を超えた新しい発想が生まれるからです。対話の場では、メンバーが自分自身と向き合い、創造性ややる気が自然と高まります。また、対話を通して、活動の目的やパーパスを自分ごととして感じることができるようになります。つまり、対話が創造的な組織づくりの基礎となるのです。今回は、効果的な対話に必要な5つのポイントをご紹介します。
目次
対話は、自分を見つめ直す大切なチャンスです。まず、自分の考えを冷静に振り返り、「なぜそう考えるのか」を理解することが、対話に参加するための基本です。これができれば、次のステップである評価や判断を一時的に保留することができ、対話の質がぐっと高まります。
そのためには、「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つの要素を意識して、自分の考えを整理することが大切です。この4つを見直すことで、自分の思考をより明確にし、他者との対話において多様な視点を取り入れることができるようになります。
【例: 同じ犬を見ても…】
Aさんの場合
Bさんの場合
このように、私たちの意見は、それぞれ異なる経験、感情、価値観に基づいています。対話を通じて、相手の意見の背後にあるこれらの要素に目を向けることで、より深い理解と共感が生まれ、多様な考え方を取り入れることができるようになります。
自分自身を理解した次のステップとして大切なのは、評価や判断を一時的に保留することです。「これが正しい」とすぐに結論づけてしまうと、他の意見を受け入れる余地がなくなってしまいます。対話の場では、新しいアイデアを共に生み出すことが求められているため、自分の意見に固執せず、他の人の考えを中立的に受け入れる姿勢が必要です。
さらに、この評価判断の保留は、心理的安全性を保つためにも欠かせないスキルです。対話の場では、誰もが安心して意見を共有できる環境を作ることが重要です。
評価や判断を一時的に保留できたら、次に大事なのは相手の話にしっかり耳を傾けることです。対話では、相手の意見が自分と一致するかどうかは重要ではありません。大切なのは、相手の意見の背後にある「経験」「感情」「価値観」を理解することです。
共感とは、相手の意見に同意することではなく、なぜ相手がそう考えるのか、その背景を理解することです。このプロセスを通じて、自分とは異なる新しい視点や世界観に触れることができ、対話の質を深めることができます。
相手の話から得た新しい情報は、ただ聞くだけで終わらせず、自分の成長に繋げることが重要です。対話を通じて得た新しい視点や考え方を、自分の中にしっかりと取り入れ、思考を柔軟にすることで、自己成長を促進することができます。
対話の中で、自分自身をリアルタイムに振り返ることは非常に重要です。自分の発言や行動が相手にどのような影響を与えているのかを客観的に見つめることで、感情を上手にコントロールし、対話をよりスムーズで効果的に進めることができます。
対話は、創造的な組織文化を育むための鍵です。組織全体が柔軟な思考を持ち、新しい価値を生み出すカルチャーを形成するためには、対話が欠かせません。特に新卒採用においては、担当者自身の人生経験や価値観を絡めて対話を行うことが重要です。
例えば、「このような環境で育ち、このような人々から影響を受け、このような出来事があったから、私はこの価値観を大切にしています。今この会社で働いているのは、自分の価値観を大切にできる環境だからです」といった個人的なストーリーを交えて会社のミッションやビジョンを説明することで、学生や新入社員は「この人は本物だ!このような社会人になりたい!」と強く共感します。
このように、対話を通じて個々の価値観や経験を共有することが、組織のカルチャーを豊かにし、共感を生む力になります。対話の力を活かして、組織の潜在力を最大限に引き出し、「ありたい未来」を共に実現しましょう。
※参考文献:「みんなで○○ 創造性 ~個人と組織の創造性を育むための20 の事例と 12 のヒント集~」