Column採用コラム

2017.07.24

内定者フォローレポート

内定辞退を引き留めた新卒社員がわずか1年で退職した話【No.50】

ある経営者が昔勤めていた会社で、内定辞退を引き留めた新入社員が約1年後に早期退職してしまった話を聞きました。採用担当者として内定辞退はできるだけ引き止めたいものですが対応方法に問題はなかったのか、どうすればよかったのか考えてみました。

内定辞退の留保から退職までの経緯

Aさんは神奈川県のあるOA機器の販売会社から内定をもらいましたが、4月1日の入社日に内定辞退(入社辞退)を申し入れました。会社は突然の話に驚きながらも「とりあえずしばらくは働いてみないか?」と慰留し、本人も同意。社内では現場社員には伝えず経営層と人事部だけの秘密事項として進めました。

入社後は3カ月間の営業研修・OJT研修を経て、新規顧客開拓の営業職に数ヶ月従事。その後、既存顧客のサポートがメインの部署に配置転換。新規開拓の営業ではそれなりに頑張ったそうですが、ノルマが低く厳しくない部署に配属されて以降は低いモチベーションのまま仕事を続けていたそうです。

勤務時間中にサボる回数が増え、少しずつ顧客から不満の声が目立つようになりました。その後、顧客からのクレームから報告書の嘘がばれ減給だけでなく自宅待機という懲戒処分。復帰後も職場態度は改善されず、仕事をさぼったため再度トラブルが発生。最終的に促されるように自主退職しました。

どのタイミングで誰が何をすればベストだったのか

この問題について皆さんはどう考えますか。内定後のフォローの問題、内定辞退を引き留めたのが問題、それとも現場の管理責任でしょうか。入社日の前に悩んでいることに気づくべきだった、無理に引き留めるべきではなかった、メンバーに事情を共有しておくべきだった等の反省点が浮かび上がります。

勤務時間中にサボるAさんにも大きな問題がありますが、「そもそもこの会社で働きたくなかった」と、心の中でずっと思っていたのかもしれません。結果論ですが、内定辞退を慰留させ働く意欲がないまま入社させてしまったことは失敗だったと言えます。

入社前の情報発信が大きな役割を担っている

内定者が入社前に突然内定辞退を伝えて来たら、本人の今後のキャリアプランや時期遅れの就職活動のリスクを考えて「会社や仕事内容を十分に理解していないまま内定辞退するのは勿体ない」「いま辞退したら自分自身の経歴にも傷ついてしまうから冷静に考えてほしい」と伝える人も多いと思います。しかし、本人が一度決心してしまうと、企業側の説明を受け入れてもらうのは難しくなってしまいます。

内定辞退にも様々な理由やケースが存在しますが、いずれも入社前のコミュニケーションに改善点が見つかるケースが多い傾向にあります。今回の事例では入社前にしっかりコミュニケーションをとっていれば内定辞退に対する捉え方や対応も違っていたと考えられます。

まとめ

新卒入社の約30%が入社3年以内に退職していると言われていますが、入社後にイメージしていた仕事と違っていたとミスマッチに気づくのが退職理由の大きな原因になっています。つまり入社前にどれだけ会社や仕事に対して理解度を高められるかが早期離職のカギを担っていると言えます。

これまでは「入社後の新入社員研修で会社や仕事内容を理解してもらえばいい」という考え方が主流でしたが、最近では「入社前に理解してもらったほうが会社だけでなく本人の為になる」と考えて、内定者研修や内定者フォローの一つとして社内の日常風景や実際の仕事の様子をスマホアプリで発信する企業が増えています。

コミュニケーションをとれていないまま内定辞退を申し入れて来たら、人事としても悔いが残りますよね。そうならないためにも内定承諾以降はしっかりコミュニケーションをとって、お互いが納得した状態で入社日を迎えられるように努力してほしいと思います。

内定者に対する、入社までの動機づけを継続して行うことは内定ブルー解消、入社後の早期離職防止両方に重要です。

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内定辞退を引き留めた新卒社員がわずか1年で退職した話(142KB)

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