Column採用コラム

2018.01.24

内定者フォローレポート

採用ミスマッチ!早期離職する理由と本音<後編>【No.76】

新入社員が入社3年未満で退職する理由について、前編では入社までの経緯として採用基準や内定を出した理由をまとめました。後編では早期退職してしまった新入社員が伝えた退職理由と、採用ミスマッチの原因についてお話したいと思います。

伝えられた退職理由

・この仕事に向いてない。同期がみんな理解している内容も理解できないし、医師や薬剤師とも話ができないので、自分には向いていない。

・他に向いている仕事や良い会社があると思う。具体的にどんな仕事が向いていると思うかはわからないが、自分にしかできないことがあると思う。天職と呼べる仕事があるはずなので探したい。

・今の会社には面白そうだと思って応募したら受かった。→入社できればどこの企業でも良かったが、幸運にも企業規模が大きく親も納得してくれる就職先だった。仕事も面白そうで専門的なスキルが身につきそうな仕事ならなんでも良かった。

・大学もハイクラスの大学に入れば就職先に困らないと親に言われたから受け、受かった学部に入学した。やりたいことが見つからないまま就職活動の時期に入り、親の勧めで有名大企業を順番に受けて落ちた後は、なんとなく面白そうな職種を受験した結果、B社で内定が取れたから入社した。

退職面談の後、Aさんは退職していきました。Aさんが退職した後、Aさんの同期とお昼で一緒になったのでAさんの寮や部署での様子を聞くと、いつも他の人の話を聞いており自分のことを話さないタイプ。部署でも意見を積極的に言うことが少なく、大人しい印象だった。この話からAさんが面接では営業向きの人を演じていたことがわかりました。

Aさんのケースでわかった3年未満で退職する学生の特徴

入社3年未満で退職する人の中には、本当に仕事が合わない人や社風になじめない人もいるでしょう。ここでは、今回のケースからわかった特徴を述べます。

自分の意見がなく選択することができない

Aさんのように自分で大学や就職先を選べない人の多くは心理学的に「モラトリアム人間」と呼ばれます。モラトリアム人間とは青年期までに確立されるアイデンティティが未確立であるため、『自己』というものがなく自分の主張や個性、自己判断ができない他人任せの人間のことです。

一般的な言い方をすれば「親離れができていない」状態といえるでしょう。そのため、Aさんのように大学選びも親のいいなり、就職先も親が喜びそうな有名大企業を選択するようになります。

しかし、社会に出れば自分で判断しなければならないことが多くあります。その壁に当たるのが営業として独り立ちをした2年目になることから、Aさんは挫折をして退職を決意したと推察されます。

周囲の評価を気にする

モラトリアム人間の特徴の1つですが、周囲からの評価を気にします。「ステータス」「特別」「高スキル」「専門性」「有名」という言葉に弱い特徴があります。

B社は大手でも有名企業でもありませんが、営業スタイルは学術営業という専門性の高い職種で、Aさんもそこに興味を持っていました。また、Aさんはやりたいことがないけれども「自分にしかできないことがしたい」という希望を強く訴えていました。

この言動も周囲からの評価を気にしていることを表しています。モラトリアム人間の人は周囲の評価を気にするため、一生懸命努力をします。これはできない自分を認められないのかも知れません。

そのため、面接対策を万全にして面接官に好かれる完璧な演技をするので、面接で見抜くは難しくなります(特に女性は演技が上手くて見抜きにくい)。一方で、周囲の評価を気にするあまり、仕事がうまくいかない状況で会社に居ることに耐えられなかったとも考えられます。

人間関係が構築できない

自分に自信を持てない人は人間関係を構築することが苦手な傾向にあります。特に他人に依存している人は自分の意見がないため、その場その場で他人の意見に流されて行動をするため、他人から頼りない印象を持たれて信頼されにくい存在になってしまいます。そのため、人間関係を構築できなません。

自己分析ができていない

自己分析とは自分と向き合い、客観的に自分を見つめることです。この作業ができないと、自分の能力を見誤り自分には合わない職種を選んでしまいます。「やりたいこと=できること」とは限りません。きちんと自己分析ができる人は自信を持って「この仕事が自分に合うと思い応募しました」と、面接で答えています。

まとめ

B社がミスマッチを起こした原因は複数あります。まず突然の追加採用に、とにかく10人集めなければならないと数合わせを優先してしまったこと。そして応募者1人に対して十分な面接時間を設けることができず、通り一遍の質問しかしなかったため、応募者の本質(演技)を見抜くことができなかったことです。

企業側の対応次第で防げるミスマッチは多くあり、学生の属性をしっかり理解し、計画性をもって面接をすることで防げるミスマッチも多いと学んだ事例でした。毎年、就活シーズンになると余裕が減ってしまいますが、3年後、10年後を考えた採用をしていきたいですね。

コラムPDF版はこちらからダウンロードできます↓
採用ミスマッチ!早期離職する理由と本音<後編>(305KB)

一覧へ戻る