内定辞退防止や企業理解の為にソーシャルメディア上でコミュニティを作成し、採用担当者と内定者がコミュニケーションをとれる機会を積極的に増やしていこうと考える企業が増えてきました。学生にとっても内定後から入社までの期間の不安感の払しょくができる安心感が生まれます。
企業によってはコミュニケーションツールとしてFacebookグループやLINEグループチャット等のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用している企業もいますが、安易に導入している企業も多い為、気をつけてほしい注意点や失敗事例についてまとめました。
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一番気をつけてほしいのが情報漏洩のリスクです。普段何気なく使っているFacebookやLINEだからこそ、情報漏洩というリスクが大きいです。過去に起きてしまった情報漏洩をご紹介します。
2010年には健康食品の通信販売大手が再チャレンジ制度と称して動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」を活用した新卒採用試験を導入しました。しかし、学生側が公開設定を間違えたことで顔・氏名・大学名が流出してしまい試験方法そのものが問題視され、結果的に学生側に動画投稿を要求していた企業側が謝罪することになりました。
大手通販会社は無料ツールを安易に利用したことで企業イメージを損ねてしまいましたが同じようなミスとして「Facebookで誰でも見られる設定で投稿してしまった。」「LINEグループで違うグループに機密情報を送信してしまった。」というリスクが、企業側と学生側双方にとって十分に起こり得るケースとして考えられます。
仮に内定者の大学生がミスを起こした場合でも、内定先の企業に管理上の責任が問われます。内定者の時点ではコンプライアンスの意識も薄く、上司の名前や会社で起きた出来事をネットに書きこんでしまったことで、会社が公式サイトで謝罪した例もあります。
「内定者はまだ正式な従業員じゃないから大丈夫」「大手企業ではないから仮に情報漏洩してもバレない」と考えていると、企業のブランディングに致命的な損失がでてしまいかねません。充分に注意してほしいと思います。
学生から「内定先の担当者からFacebookで友達申請がきたけど、どうしたらいいのか」という相談をこの時期はよくされます。内定企業とはいえ、個人アカウントとして利用しているSNSで、会社の上司や先輩と繋がる人ことを嫌がる学生は多いです。
企業にとっては良かれと思って始めたSNSでの内定者フォローが、プライベートと仕事を分けて考えたい学生も多いため、FacebookやTwitterでのフォローは嫌がられます。特に入社動機が崩れやすい内定者の段階ではマイナスに働くことも十分あり得ます。できれば内定者の段階では強制的にプライベートに介入することは避けるべきでしょう。
SNSは無料で利用でき、企業と内定者の距離を縮めることができる便利なツールですが、一方で決して低くはないリスクが存在しています。情報漏洩のリスクを懸念して、SNSで事務連絡しかできなくなったという失敗事例も。これでは企業(採用担当者)と学生(内定者)の距離も縮まらず、本末転倒になってしまいます。
こうした解決策としてオフィシャルの内定者フォローSNSを準備しておくのが有効です。最近では年間10万円~20万円程度で利用できる企業向けの内定者フォローSNSサービスも多くあります。少額で始められるため中小企業でも導入する企業が増えてきました。予算に余裕があればこういったサービスを導入するのも一つの方法です。
FacebookやLINEを利用するなら、まずはガイドラインを作成したり、ガイダンスの機会を設けたりして情報漏洩などのリスクについて細心の注意を払って運用したほうがいいでしょう。万が一のトラブルにも注意しつつ、トラブルが起きた場合の対処法も決めておくことをおススメします。
企業にとっては自社の理念に共感してくれた優秀な学生を選んで内定をだしているわけですから、問題なく全員が入社する日を迎えてほしいですよね。内定者に入社後の姿を思い描けるような適切なフォローをしてほしいと思います。
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内定者フォローレポート①なぜFacebookやLINEを内定者フォローに使ってはいけないのか?